昨日のasahi.comが、大手「自費出版」会社と著者とのトラブルを伝えている。しかし、かんじんの自費出版社の社名は伏せたままだ。朝日が名前を伏せている以上「推測」ということにしておくが、引きも切らないトラブルまみれのこの自費出版会社は新風社に間違いあるまい。
これまで、ネット上では新風社や文芸社の「共同出版」商法は批判されてきたが、新聞は取上げてこなかった。それどころか逆に持上げていた。(2006年10月7日「be on Saturday フロントライナー」※記事は今年3月に削除された)。その時点でもトラブルはすでに発生していたのだが、朝日新聞はPRまがいの記事を掲載した。朝日新聞としては、相手が広告主でもあるお得意様だから今回も社名を出さない腰の引けた記事になっている。しかし、社名こそ伏せているが勧誘の手口を紹介した批判的な内容であるところをみると、ここへきて風向きが変ったのかもしれない(朝日新聞への広告出稿が減ったのが理由だったりして^^)。

追記:7/6
毎日や読売新聞には新風社の社名も、訴えた「著者」の実名も掲載されていた。訴状内容もこちらが具体的で詳しい。朝日だけが固有名詞を避けて「大手自費出版会社」としている理由を知りたいものだ。

いくつもの「出版賞」を設け、無名の素人を多額の賞金でつり、その裏で有料出版を勧誘する「共同出版」商法が法律に触れるかどうか、係争中の裁判で原告が勝てるかどうかも私にはわからない(過去の裁判では著者側が負けている)。それに、いくら騙されたとわかっても、弁護団を組織できる資金力を持つ出版社相手に個人で闘うのは難しい。裁判に持込めず泣寝入りする被害者も少なくないだろうから、この手の商法は今後も無くなることはないだろう。

出版社を標榜する会社が、本の販売利益ではなく素人著者が支払った「協力」金で稼ぐ商法はどう考えても不健全だ。
しかし、作家の佐野眞一氏が「だれが『本』を殺すのか」の中で書いたように、ちゃんと個人契約を交しているのだから、「自費出版ビジネスにまったく問題がないとはいえないが、独り暮らしの老人を狙って羽毛布団などを売りつける悪徳商法とは根本的に商売の組み立てが違う」とする考え方もあるだろう。
不思議に思うのだが、被害を被った人たちは、100万円以上もの大金を払う前に、自分が契約しようとしている会社の情報を入手しなかったのだろうか。新風社や文芸社に関する情報はネットで見つかったはずだ。出版大手の講談社の年間出版点数が2000点程度なのに、新風社が1800点も出していることを異常な点数だとは感じなかったのだろうか。150冊ですよ月に。
「著者」側も脇が甘いと言われてもしかたがない。


※最近では藤原新也氏のブログに新風社の情報が集り出している。