2008.01.19
『ホテル・ルワンダ』 2004
『ホテル・ルワンダ』
制作:イギリス/イタリア/南アフリカ
2004年(2006年日本公開)
監督:テリー・ジョージ
出演:ドン・チードル
ソフィー・オコネドー
ニック・ノルティ
ホアキン・フェニックス
ジャン・レノ
2004年(2006年日本公開)
監督:テリー・ジョージ
出演:ドン・チードル
ソフィー・オコネドー
ニック・ノルティ
ホアキン・フェニックス
ジャン・レノ
1994年、ルワンダではわずか3ヶ月ほどの内戦で100万人が殺されたと言われている。その大量虐殺から人々を救った実在のホテルマンの勇気と良心を描いたドラマ。
日本では娯楽性に乏しいと判断されて、当初は配給が見送られたが、ネットでの署名活動が実ってやっと公開されたいわくつきの作品だという。うかつなことに、ルワンダの虐殺もこの映画の内容も知らなかった。
いまさらながらの映画評――。
虐殺があっても今の日本のジャーナリズムは、人間が死ぬシーンや死体の映像を報道しない。湾岸戦争でもイラク戦争でも、人の死ぬ映像や死体の映像は排除され、戦争はハイテクのテレビゲームのように報道されてきた。今ではそれをおかしいと思う感覚も薄れている。しかし、ベトナム戦争までのジャーナリズムはまだ人間の死体が報道されていた。例えば、スペイン内戦に従軍したロバート・キャパの写真は、兵士が銃弾に倒れた一瞬をとらえた「崩れ落ちる兵士」だったし、石川文洋氏の報道写真には、肉片と化したベトナム兵を獲物のように得意げにぶら下げてポーズをとる米兵の姿があった。確かに残酷だが、それだからこそ見えてくるもの、理解できるものがあったと思う。
アメリカ国民にベトナム戦争の反戦意識を植え付けたとされる有名な写真(下)は、南ベトナム兵が北ベトナム兵(ベトコン)を処刑する一瞬だった(この直後射殺された。連続静止画も動画も公開された)。こうした映像は、これからは残酷だとして日の目を見なくなり、殺戮や死体はフィクションの中でしか見ることができなくなるだろう。

しかし、『ホテル・ルワンダ』はその虐殺や死体のシーンを比較的抑制した映画になっている。戦闘や虐殺を描いた戦争映画というより、極限状況でのサバイバルの物語である。実話を元にしているが、ルワンダの歴史を知らなくても理解できる。暗すぎず、地味すぎず、一般作品としてうまくまとめられているので最後まで退屈しない。ちょっと手際がよすぎてテーマとの齟齬を感じるほどだが、メーセージはストレートに伝わってくる。
ホワキン・フェニックス演じる西側カメラマンのセリフがそのメッセージの肝だろう。
「虐殺の事実を知っても、彼らは「怖いね。」と言うだけで、その後ディナーを食うのさ。誰も助けにはこない。」
ルワンダは石油資源を持たず、核を保有してもいない。外国資本が投資する魅力的な産業も観光地もない。
国際社会の無関心がルワンダの被害を拡大させたと言われているが、多くの日本人にとっても、アフリカの小国やそこでの民族紛争はいまひとつ縁遠く、実感するのが難しいのが正直なところだろう。
いや、ルワンダの虐殺どころか、身近な小さな暴力にさえ目をそらしているのが私たち自身の日常的現実ではないか。それを思うと、このホテルマンの愛と勇気は超人的である。
勇気がなくても、せめてこの映画を観て、ルワンダで起きた紛争を「目撃」することはできる。
まず知ることがすべての始まりだ。
予告編
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