2008.06.05
夜の同伴者

昨夜も男は眠れなかった。
睡眠障害というやつだ。
たまに運良く眠りにつけた夜でも、3時間もたたず唐突に目覚める。そうした状態がもう長いこと続いていた。寝酒を飲んでも眠れないのは同じだった。しかし男は睡眠薬に頼ることは考えたこともなかった。薬が嫌いだった。
男は眠ることをあきらめ、ベッドを抜け出し、夜の住宅街を歩いた。
深夜というより早朝に近い時間だ。
小糠雨が降っていた。6月にしては気温が低い。
だんだんと雨脚が強くなってきたが、男は傘を持っていない。
男はウインドブレーカーのジッパーをあごまで引いて襟を立てて背中を丸めて歩いた。

目の前の路地を突然黒いものが横切った。
猫だ。
猫は一瞬立ち止まり男を見た。
そしてすぐに関心を無くし走り去った。
オマエも眠れないのか。
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