ちょっと驚く写真サイトに出会いました。

福居伸宏 EVERY SUNDAY

夜の光景を撮影した写真と聞けば、多くの人が思い浮かべるのはたぶん松本コウシ氏の「眠らない風景」ではないでしょうか。いまさらわたしが言うまでもなく、氏の夜写真はどこかシュールで、ドラマティックでとても刺激的です。松本氏が夜写真の確固としたひとつのスタイルを作り上げてしまったので、夜の光景を撮るとどこかしら松本コウシ氏の二番煎じ見えて困るほどです。

しかし福居伸宏氏の夜写真は松本氏のそれと違いまったく異質です。最初見たときは夜の写真だとはわかりませんでした。なにやら独特で不思議な色合いだなと感じたのが第一印象です。説明を読んで初めて夜の撮影だとわかりました。

福居氏の夜写真は松本氏のようなドラマティックな物語性や力強さにはとぼしく、どちらかというと静謐で、単調な印象すら受けます。ただの普通の夜の風景と見えなくもありません。たしかに、よく見るとなじみのある夜の光景だけど、しかしそれが写真でこのように表現されたのは初めてではないでしょうか。福居氏の写真はその意味でまったくのオリジナルだと言えます。夜写真のもうひとうのスタンダードが誕生したと言えるかもしれません(福居氏の作品はすでに数年前に発表されたものなので、今頃“誕生”というのはわたしの勝手な都合ですが…)。
福居氏がベッヒャー夫妻のタイポロジーを意識しているところにも興味深いものがあります。わたしはタイポロジーについてはいまひとつ理解不足ですが、福居氏の夜写真をみたときまっさきに頭に浮かんだイメージがベッヒャーだったからです。福居氏の夜写真はエンターテイメント性が希薄で、どちかかというとコンセプチュアルなアート写真と呼ぶべきかもしれません。、高尚でとっつきにくい印象がありますが、わたしは衝撃をうけました。

写真表現のフロンティアがこんなにも身近にあったことは驚きであると同時に、写真を撮っている身としてはちょっと悔しい気もします。