鈴木とジリンスカスの試合は明らかに鈴木の一本勝ちだった。
だが、テレビに出演した古賀氏(バルセロナ・オリンピック金メダリスト)は、これが世界における審判の現状だから現実を受け入れるべきであると今回の判定を容認していた。しかし、技をかけられて背中から落ちた以上その時点で負けのはず。そこから切り返してもかまわないとするならもはや柔道ではなくてレスリングになってしまう。勝ち負け以前のルールの問題だ。日本としてはルールの確認を含めて強く抗議すべきだろう。

しかし、現実がそうなら確かに古賀氏の言うように北京オリンピックではこうした現状をふまえて戦うしかないだろう。ただ、そうなるとこれから見苦しい試合が目立つようになりそうな心配がある。いわゆるだめ押しというやつがはびこるのではないか。相撲で言えば、土俵の外に足がでると負けだが、それでは不十分とばかりさらに土俵の外へ突き落とすようなものだ。、柔道もきれいに一本勝ちを決めたあと、さらにだめ押しで倒れた相手を押さえ込むようになるかもしれない。それは見ていて気持ちのいいものではないに違いない。

国際柔道連盟の総会で山下泰裕氏が大差で落選し、執行部から日本人がいなくなったことも今回の判定と無関係ではないだろう。
柔道の商業化(プロ化)を推進するヨーロッパ連盟と、アマチュア規定にしばられている日本との考え方の違いは今後さらに鮮明になってくるはずだ。古賀氏が今回の判定を容認したように、日本柔道関係者の間でもこのあたりの見解は分かれるようだ。日本柔道の伝統と「美学」を維持するためにも、変貌する世界柔道の流れの中で日本の発言力を維持する努力と共に、理想主義に走るあまり世界から孤立しないよう、柔軟で現実的な対応を望みたい。






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